一昨日、Hakujuホールでの「宇宙(そら)の風」コンサートに御来場いただき誠に有難うございました。私達の予想を超える満場のお客様とともに音楽の時を心に刻むことができたことに、心から感謝申し上げます。
加藤圭子さんは、プロデューサー、音楽事務所代表として、クラシックから最先端の現代音楽まで、内外の作品や演奏家の紹介に力を注いでいました。晩年は未来を担う子供達に大切に繋いでいきたいと、日本の唱歌や童謡などのコンサートも多く手がけました。私は、彼女が繋いでくれた演奏家の皆さんと、前半はソロを含む器楽作品のステージ、後半は歌のステージで共演しましたが、作品が変わるごとに会場の空気が変容するのを体感していました。作曲家、そして演奏者が作品に込めた祈りと、幅広い世代のお客様それぞれが作品を通して感じていた様々な思いが一つなっていたように感じました。そこには、まさに彼女がいつも目指していたコンサートがありました。そして、言葉のない器楽の世界と、言葉と音楽が融合した歌の世界(しかも母国語の日本語で)を一夜で演奏できたことは、私にとって贅沢な音楽時間でした。それぞれの世界が持つ無限の可能性をあらためて深く実感できたこと、これはきっと、天国の彼女からの最高のプレゼントだったと思っています。
プログラムに寄稿した思い出です。
いつも厳しい批評家であり、そして友人であり、また最大の理解者だった圭子さんの存在は、私にとってかけがえのないものでした。お仕事を通じて初めて出会った時は、まだ20代だったのかな。遠くに旅立ってしまったことを忘れて、先日もつい電話をしそうになってしまいました。新しいコンサートのプログラムのアイデアを伝えたかったのです……。音楽にとどまらず、内外の美術から文学までの深い知識に裏付けされた彼女の審美眼と、たとえどんな相手であっても、批判を怖れずに真っ直ぐに自身の意思を伝える姿勢は見事でした。微力ながら圭子さんの意思を継いでいきます。素晴らしい妻であり母であった、愛に満ち、素敵でかっこいい女性だった圭子さんに、F.リスト:「詩的で宗教的な調べ」より“愛の賛歌”を届けます。昨今、演奏とは“祈り”であることを再認識しています。圭子さんへ、祈りを込めて。
Hakujuホールには、美しいクリスマスツリーが飾られていました。時は移ろっていきますね。
We finished the memorial concert with great success and full house. It was dedicated to our deceased friend, Keiko Kato.She was music producer and music office representative.
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